お昼は芸のお稽古、夜はお座敷でのお仕事と、京都舞妓の一日はとってもハード。
ここでは、そんな舞妓の一日についてご紹介します。
夜が遅い舞妓の仕事ですが、翌日の稽古事やお座敷の時間に合わせ、だいたい8時から10時ごろには起床します。
朝食後、祇園の舞妓は祇園甲部歌舞練場のすぐ北側にある「八坂女紅場学園」でお稽古をつけてもらい自分の芸を磨きます。
スケジュール(時間割)は習う芸事によって違いますが、9時からお昼ごろまで行われ、時には師匠の厳しい指導を受け、時にはお姉さん方の芸を見ながら、早く一人前になれるようお稽古を重ねます。
午前のお稽古が終わったら、お昼ごはん。朝から夜遅くまで毎日がハードな舞妓にとって、一番楽しみな時間かもしれませんね。
たいていは自分の家で食べることが多いのですが、時にはお稽古が終わって、同期の舞妓たちと外で食べることも。舞妓といっても和食ばかり食べているわけではありません。パスタを食べたり、コーヒーを飲んだり…素顔は街中にいる女子高生たちと変わらない普通の女の子なんです。
お昼ごはんを食べたあと、お座敷に上がるまでの時間は、しばしの休憩時間。前の晩が遅かったときは昼寝をしたり、本を読んだり、時には掃除やお稽古の復習をしたり思い思いの時間を過ごします。
日が傾いてきたら、そろそろお座敷の準備。髪を梳いて、かんざしを挿して、白粉や紅を塗って…。最後に男衆さんに着物を着せてもらったら、祇園の夜が始まります。
いよいよ夜。お座敷です。お客さまの前で舞を披露したり、お酌をするのが仕事ですが、お座敷は1日1軒だけではありません。忙しい日は5軒くらいお茶屋さんを行ったり来たりしています。
仕事は祇園のお茶屋さんのみならず、ホテルのパーティーや、地方の物産展などに出張することもあります。
通常、仕事が終わるのは午前1時くらい。寝るのは2時くらいですから、とてもたいへんな仕事なのです。
舞妓の公休日は第2・第4日曜の月に2日。その他に「をどりの公演」のあと5〜6日、夏に3〜4日、年末年始に10日ほどの休みがあります。
休みの日の過ごし方は、映画を見に行ったり、洋服を買いに行ったり、まとまった休みがあるときには泊まりがけで旅行に行ったりと、人それぞれ。
休みの日数やお仕事の時間を考えるとたいへん厳しいように思えますが、みんな毎日が充実しているのか、いきいきとしています。
八坂女紅場学園(やさかにょこうばがくえん)は、明治5年に創設された祇園の舞妓・芸妓たちが礼儀や作法、芸事を習うための学校です。
科目は舞、鳴物、茶道、三味線の4つが必修科目。あとは能楽や長唄、浄瑠璃、華道、書道など、自分の習いたい芸事が選択できます。
下は15歳から上は80歳を超える舞妓や芸妓たちが、切磋琢磨して芸を磨きます。
毎年1月7日に始業式が行われますが、通常の学校と違い、入学式、卒業式はありません。
舞妓・芸妓を志して「仕込みさん」になった時が入学式、そして、芸事に対する情熱や向上心がある限り、いつまでも卒業しなくてもよいのです。