京都の四季は舞妓の「花かんざし」でわかります。
舞妓のかんざしは、主に季節の花をあしらっており、各月ごとに装いを変えていきます。
新年らしく、松・竹・梅であしらわれます。また、お正月には「実れば実るほどに頭を下げる」という意味で、稲穂と鳩のついたかんざしを飾ります。また、鳩の目を好きな人に書いてもらうと願いが叶うといわれています。
2月は紅白の梅です。上七軒に近い北野天満宮をはじめ、京都には梅の名所が数多くあります。
また、節分には「おばけ」という仮装を楽しむ風習があり、派手に着飾って厄払いをします。
3月は春を呼ぶ黄色い菜の花や桃が飾られます。暖かくなってくると、かんざしにも蝶が舞い、京都の街にいよいよ春が訪れます。
春本番、4月は日本を代表する花である桜です。お姉さん舞妓になると、華やかな桜だけでなく、大きな蝶をあしらって春を演出します。
5月は初夏の訪れを告げる、色とりどりの藤の花が舞妓の髪でたなびきます。
また、変わりかんざしとして大きなあやめも使われます。
梅雨空にもくっきりと映える緑色の柳が6月の花です。変わりかんざしとして、丸く大きなあじさいが雨の京都を彩ります。
7月になると、京の街は祇園祭一色。舞妓のかんざしも祇園祭にちなんだものを着けます。
また、お姉さん舞妓は、祇園祭の時だけ「勝山」という髪を結うことができます。
8月はすすきや朝顔のほか、花火やうちわなど、涼を呼ぶモチーフで飾られます。
また、8月1日は「八朔(はっさく)」と呼ばれる行事があり、この日は正装して普段お世話になっているお茶屋へあいさつに回ります。
夏の花というイメージが強いききょうの花ですが、秋の七草のひとつに数えられる秋の花。
その鮮やかな色合いは、残暑が厳しい京の街に涼を運んでくれます。
春を代表する花が「桜」なら、秋を代表するのは「菊」の花です。若い舞妓の小菊から、お姉さん舞妓がつける大輪の一輪挿しまで、様々な形のかんざしが見るものを楽しませてくれます。
11月は京都の山々を色鮮やかに染める「もみじ」と「いちょう」です。赤と黄色のコントラストが京の秋をいっそう華やかなものにします。
人も街も慌ただしくなる師走。歌舞伎役者が、今年の芝居はこれこれの役者で務めます、というお披露目をする「顔見世」というものが南座で催されます。かんざしにはこれにちなんで、歌舞伎役者の招き書き(役者の名前が書かれたヒノキ板)があしらわれます。それぞれの舞妓が楽屋へ行って、ひいきの役者の名前を書いてもらいます。
舞妓がつける花かんざしもよく見ると、大きさや飾り付けの度合いが違うことに気がつかれると思います。一般的に、店出し(舞妓としてのデビュー)から2年程度は、花も飾りも小さいものを数多く飾って「かわいらしさ」をアピールします。それから舞妓としての経験を重ね、年齢的にも大人になっていくにしたがって、小さくて「可憐」なものから大きくて「魅力」ある花へと変わっていくのです。